椋庵 (大和田)

思い出は思い出のままに

 

私は同窓会というものに出席したことがない。

出かけるのが面倒ってのもあるけど、当時はかわいかったあの娘の変わり果てた姿を目の当たりにするのがどうにも忍びなくてね。

昔テレビを見てたら誰かが、締まりのないおっかさんになってた天地真理を見て「死んでくれ」と言ってたのには腹抱えて笑ったけど、これが自分の同窓会での経験だとしたら笑えなかったり。

もちろん、向こうもそう思ってるのは百も承知ですよ。

 

きょうは、そんなお話。

 

住宅地の中にポツンとあるこの店にはじめて行ったのはもうかれこれ10年ぐらい前だったかな。

家から近かったので弟と一緒に自転車で乗りつけたのを昨日のことのように覚えている。

出し巻きとざるを食べたんだけど、かなりのレベルだと思った。

今まで食べた中でトップクラスの蕎麦だと思った。

 

月日は流れ...。

大阪で生活するようになってもうすぐ丸3年。

関東にはちょくちょく帰ってたんだけど、大宮まではなかなか行く時間がなくてね。

しかし、時間的に余裕があった今回の里帰り、はるばるやってきました『約束の地』へ。

 

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ふつうの住居を改装した店舗

 

 

と、遠かった。

大宮駅を降り、アルディージャファンの聖地オレンジスクエアを横目に、2号線を岩槻方面へてくてく約20分。

真冬なのに汗だくになってしまったよ。

 

腹ペコ度9ペコ。

 

まずは軽く出し巻きでも食べましょうかね。

 

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だし巻き 810円

 

......。

 

あれ? こんなに甘かったかな。

そして、油っぽい…しかも、質の悪いサラダ油。

はっきり言って焼き加減も中途半端。

 

…...。

 

ま、まあ、あくまでもサイドメニューだしね。はは。

 

 

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 せいろ 870円

 

本番はこっちこっち。

秋田と常陸の九一で仕上げたという蕎麦はどうですかね。

 

...かってえ…。

いくらなんでも固すぎるでしょ。

固い蕎麦が好きな私が固いっていうんだからそのひどさがわかろうというもの。

 

水切りもザツなんだよね。 

おねしょしちゃってるよ、蕎麦が。

 

唯一の救いは風味があったことだけ。

辛汁は悪くないけど、かといって特筆すべきものがあるかと言えばそれもない。

 

え~、こんな程度???

はっきり言って大阪の蕎麦に負けてるじゃん。

どんだけ手を抜いてんだよ。

一茶庵が泣いてるよ。

 

アタシの思い出を返して!!!

 

まさにこんな気分。

 

チェイサーで鴨せいろを頼もうと思ってたけど取りやめたもんなー。

 

帰りは帰りでバスが時間通りに来ないんで歩きだしたら、ちょうどバス停に戻れない距離で登場するし。

往復徒歩で運動にはなったけどね。

 

もう二度と来ることはないでしょう。

 

 

さようなら、俺たちの椋庵。 

好きだったよ...。

 

★★☆☆

 

訪問日:2017年1月12日

そば打ち 松林 (梅田)

さぞやお高いんでしょうねえ、ショバ代が

 

Rainy days and Sundays always get me down.

雨の日は嫌いじゃないんだけど、この日は別。

 

場所は梅田。 正午。

混雑を予想して2時間前に出かけたにもかかわらず、お目当ての映画はすでに満席。

急きょ予定を変更せざるを得ず、13時半開始のほかの映画を観ることにしたんだけど、すでに12時半を回っている緊迫の状況。

昼食をすませて戻ってくるまでに残り1時間ちゃかない。

「まき埜」は駅の反対側から歩くし、「からに」はもっと遠い。

「たかま」は電車で行かないとならないし、「椋庵」は埼玉...などとブツブツひとりごちていたら、友だちから「蕎麦以外に選択肢はないわけ?」と至極もっともなツッコミ。

 

でもボクは!蕎麦が食いたいの!

 

フラれる日も近い。

 

近場でよさそうな蕎麦屋がないかと調べていると、ありましたよ。

駅のすぐそばに。

 

阪急梅田駅東口?を出て新御堂筋?を渡ったオフィスビルの地下1階。

地下といっても、すり鉢状の地下広場の外周の一角なので解放感はある。

雨の日は最悪だけど。

 

ただ、ひとつ気になることがあって、基本喫煙OKで昼時だけ禁煙にしているらしい。

うーん、本来ならこの時点で評価に値しないんだけど、have no choice。

 

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全面ガラス張りで見通しはいい

 

店内に入ったとたんによどんだ空気を感じる。

いくら昼だけ禁煙にしてもタバコのにおいは消えないんだよね。

ここに無神経な店はまったく信用していない。

 

ハードルが下がりまくってるので、まずは様子見。

 

ということで、まずは特製十割蕎麦をオーダー。

 

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松林特製 十割そば 1080円

 

1000円超えという強気の価格設定にこちらも思わず腕まくり。

蕎麦粉は茨城常陸産。

ある事情から東北・関東の蕎麦は避けるようにしているんだけど、少しぐらいなら大丈夫かな。

 

ルックは悪くない。

駅近郊の商業ビルの店舗ということとかなりの量があったことを考えれば、強気な価格というわけでもなさそう。

風味があるのは蕎麦自体がいいからだね。

十割はこうでないと。

 

しかし、そば切りが雑。 太さバラバラ。 水切りもがんばりましょう。

身内が蕎麦打ちの修行をしていたときに、練習で作った蕎麦を持って帰ってきてそれこそ毎日食べてたんだけど、そんな感じ。

職人の腕はあまりよくない。

 

辛汁は、少し鰹が強めではあるものの甘味が適正なのでバランスがいい。

そこそこコクもある。

 

まあ、想像よりはずっとうまかったので、時間がないのにさらに追加しちゃいました。

腹ペコだったしね。

 

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日替わり季節の天ぷらとざるそばのセット 1080円

 

映画開始の時間が迫っていたので、ゆっくり味わうとはいかなかったけど、二八の方も普通においしい。 

今季の茨城産は出来がいいのかな。 少なくとも北海道より全然上。

 

とまあ、蕎麦はよかったんだけど、天ぷらが0点。

衣がサクサクというよりバリバリ。

これは天ぷらじゃなくてフリッターだよ。

カナダで食ったクソまずいフィッシュアンドチップスを思い出しちゃったじゃない。

天ぷらに関してはど素人ですな。

 

もっとも、この場所このボリュームで1080円は超良心的。

強気なんて言ってすみません。

 

お得な値段以外にわざわざこの店をめざす理由は見当たらないけど、駅の近くのこういう店を知っておくと何かと便利。

 

★★★☆☆

 

訪問日:2017年1月8日

まき埜 (福島)

2017年最初の一枚はここ

 

この私としたことが、2017年一枚目の蕎麦にありつくまでになんと7日!すなわち1週間も要してしまった...。

波乱を予感させる幕開けとなった今年、いったい何枚の蕎麦に辿り着けるのであろうか。

それもこれも、初詣で半吉というなんとも中途半端なおみくじを引いてしまったせいなんだよ。

だいたい“半吉”てなんだよ。もう。

 

ともあれ、出だしでいきなりがっかりもなんだから、今回は前にも行ったことがあり、そこそこ信頼のおける無難な店を選んでみた。

 

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いつもながらおしゃれな外観

 

大阪駅からグランフロントを超えて、何に利用するのかわからない広大な空き地と線路の間を西へ向かって10分ぐらい歩くと辿り着く。

一見さんお断り風のこの店は、某グルメサイトでかなりの高評価なんだけど、正直そこまでかなというのが私の意見。

以前来たときにはあった鯖寿司はもうやってないみたい。

“そば”に“さば”なんて言葉が似てるだけで、相容れない組み合わせだからそれは正解。

 

前回の印象としては、まあふつうにおいしいという感じだったけど、久しぶりに来た今回はどうだったかと言いますと―

 

変わらず、まあフツー。

おいしいことはおいしいけど、感心絶賛するというほどでもない。

 

今回のご注文は、新そばの十割と鴨ざる。

鴨ざるは二八の田舎を選んだ。

 

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十割そば(数量限定) 1040円

 

蕎麦はひとまず置いておくとして、この店の特徴は辛汁にある。

甘さ控えめ、すっきり辛めなのは私の好み。

しかし、それに加えてほかの店の辛汁にはない風味が。

 

魚ではない。

このどこか懐かしく、潮の香りを感じさせる風味...。

 

アタシわかっちゃった。

 

これ、昆布だよ昆布(間違ってたらスンマセン)。

 

蕎麦汁に昆布を使うとクセが出てしまうので好みの別れるところではあるが、自分としてはアリ。

ただ、使い過ぎると全体のバランスを崩してしまうので難しいところ。

ここの辛汁も幾分その傾向があるけど悪くはない。

 

最近、関西の辛汁の特徴がわかってきたよ。

すっきり、さっぱり、深みナシ!

誉めてるんだか貶してるんだかわからないけど、たまに関東に帰って蕎麦を食べると辛汁がめちゃくちゃ濃く感じるからこれは確か。

関西風の蕎麦に慣れすぎるのも困りものだ。

 

で、さっき置いておいた蕎麦はどうかといいますと、角はしっかり立ってるし、細すぎず太すぎず、茹で加減も固めでちょうどいい。

若干べしゃっとしているものの水切り十分。

風味もあります。

職人の腕はいいんでしょう。

 

でもね、肝心の蕎麦粉の産地が福井、長野、北海道、埼玉のブレンドって..。

だからなんで?

福井産とあまり出来の良くない北海道の蕎麦粉を混ぜ合わせるってどういう理由なの?

まったくもって理解できない。

新そばならなおさらだよ。

 

お米にもブレンド米はあるけど、やっぱりそれぞれコシヒカリにはコシヒカリの、ササニシキにはササニシキの特徴や味わいがあるじゃない。

炊き立ての銀シャリをウリにしている有名店が「お米は色々な種類をブレンドしてます。テヘ」なんて言ったらどう思うよ?

蕎麦も一緒なんだよ。

プライドってものがないのかね。

 

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田舎そば(粗挽き二八) 単品940円

 

福井と長野の蕎麦粉のブレンドという田舎もそう。

きしめん状にするにはそれなりの考えがあってのことなんだろうけど、表面積が多いもんだからぬめってしまってるし、食感も田舎のワイルドさを減じてるようにしか思えない。

いい店だけに、体裁だけ取りつくろうような残念なことはして欲しくはなかったな。

 

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鴨ざるそば 1550円

 

醤油を効かせた鴨汁は甘味と辛味のバランスがよく濃いめ。

関東の鴨汁に近い味。

関西なので深みはないけど、好みの味ではある。

鴨の質はそれほどでもなさそう。

ただ、鴨団子はおいしかった。

田舎との相性はよくはないかな。

 

けっこう厳しい評価になってしまったけど、それもこれも関西の蕎麦が早く関東の蕎麦に追いつけるようにと願っての老婆心ゆえ。

 

大きなお世話だって?

んなことわかっとるわ!

 

★★★☆☆

 

訪問日:2017年1月7日

民生廣東料理店 (元町)

南京町の有名店は噂にたがわぬ実力者

 

ワテクシ蕎麦が大好物ではありますが、中華もなかなか好きでして。

ただ、中華って店を間違えるととんでもない量のMSG(グルタミン酸ナトリウム)が使われてたりするから困りもの。

MSGは欧米ではいまだにビッグイシューだからね。

とにかく後味が悪くなるんで、自分もMSGは苦手。

 

とはいえ、MSGを絶対に使うなというのも野暮。

それに変わる良さがあれば多少は目をつむりましょう。

 

さて、今年のクリスマスは三宮・元町あたりに出没していたことは、ここ3回の記事を見ればお分かりいただけるかと思いますが、その店は当初の予定にはまったく入っていなかった。

 

入店に至る経緯をざっと記すとー

南京町を友だちとふらふら散歩していて、「そういえばこの辺にいい中華料理屋があるらしいよ」と話しかけたら、「そこでしょ」と目の前を指さされ、「知ってたのね」→「だって有名だもん」→「そうなの?、じゃ、ここにするか」という流れ。

 

よそ者の私がなぜその店の存在を知っていたかというと、以前、元町中華街のよさそうな飲食店を調べていたときに、素材の産地を店先に貼り出しているところがあるという情報を目にしていたから。

味以上に素材の産地が気になる自分にとってはありがたい。

店の名前は忘れていたが、機会があれば行きたいと思っていた。

 

そのお店とは......グルメのみなさんならもうお分かりですね。

 

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中華料理屋っぽい看板...って、その通りなんだけどね

 

泣く子も黙る「民生廣東料理店」!(名前を忘れてたことはナイショ)

 

普段は並ぶ必要があるらしいんだけど、午後6時ごろだったので少し待っただけですぐに入ることができた。 

ちなみに写真は帰るときに写したもので、夕食時ということもありご覧の行列。

この列を見てたら回避してたな、たぶん。

 

店は高級中華というよりも、よくある街の中華料理屋って感じで、奥には大きめの丸テーブルがいくつかあって、私たちもその中のひとつに通された。

もちろん相席でござい。

 

中華は品数が豊富なので悩むこと少々。

結局、カニみそあんかけの野菜炒め、タコ焼きそば、酢豚の3品をオーダーした。

 

あとで友だちに聞いたんだけど、ここはイカの天ぷらが有名とか。

店頭にでかでかと出てたのぼりをまったく見てなかった…。

早く言ってよん。

 

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季節野菜と上海かにみそあんかけ(小) 1900円

 

野菜炒めは、カニの風味こそそれほど強くないものの、かぼちゃのねっとり感、チンゲンサイのしゃきしゃき感、絹さやのパリパリ感と3つの食感を同時に楽しめる。

もちろん味付けも完璧。

 

 

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スブタ(小) 1400円

 

大好物の酢豚も期待を裏切らない。

肉は柔らかすぎず固すぎず、添えられたピーマンと玉ねぎの炒め具合もちょうどいい。

餡は甘すぎず、味は濃すぎず、酢豚の理想形といった趣。

 

 

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 タコローメン(通称タコソバ) 1900円

 

 

野菜炒めも酢豚もうまいんだけど、出色は何と言ってもこのタコソバ。

明石のタコのぷりっとした食感と、固めに炒めた焼きそばのコリっとした食感が心地よく、今までで食べた焼きそばの中でもトップクラスの出来栄え。

 

いやー、どれもこれもおいしくてびっくり。

ほっぺたがテーブルに落っこちるかと思ったよ。

中華料理ってたいてい味付けがはっきりしていて、ともすればくどくなりがちなんだけど、ここの料理はどれもその一歩手前で抑えられているから中華なのに繊細ささえ感じられる。

MSGもこれぐらいならば許容範囲。

 

それ以上に食材の食感を意識して調理していることに感心した。

そうすることで、ただでさえおいしい料理にさらに奥行きが生まれている。

なかなかできることじゃないですよ、これは。

 

調味料やMSGに頼らず、食材それぞれに合った最適な調理時間を見極め、それをひとつの料理にまとめ上げる実力たるや...。

ホントにていねいに作ってることがよくわかる。

中華料理を少し下に見てた自分が恥ずかしい…。

 

ただね。

だからこそ、だからこそなんだよ!

なぜ、喫煙させんのよ!

 

自分のテーブルにタバコ吸ってる客はいなかったけど、やっぱりどこからともなくタバコの煙が漂ってくるんだよ。

気になって気になってせっかくの料理に集中できなかったもん。

タバコ吸ってる客に味なんてわかんないんだからさ。

おっと。

ここは、お店の英断に期待したい!

 

あと、酢豚の紅ショウガもやめようよ。

色付きの食材って一気に安っぽくなるんだよね。

屋台のタコ焼きじゃないんだから。

あの紅ショウガを見て、ちょっと食材の出どころが不安になったし。

この辺の無頓着さというか雑さが、街の中華料理屋が下に見られてしまう理由なわけで...。

少なくとも一品1400円の料理に添えられる食材じゃない。

 

でも、味自体は大判小判太鼓判。

並ぶのを覚悟で電車を乗り継いで行く価値はあります。

 

これで禁煙だったら通うんだけどなー。

 

★★★★

 

訪問日:2016年12月25日

ビストロ アンリ― (三宮)

ハプニングの連続にシナリオ総崩れ

 

昼間の蕎麦で露払いしたあとは、こちらのお店でクリスマスディナー。

例のグルメサイトによりますと(またかよ)、けっこう人気とのことでかなり前から予約していたんだけどね。

 

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まさかあんなハプニングに見舞われようとは...

 

結論からいいますと、やっぱりふつうに高級フレンチにしとけばよかった...。

 

まずくなければ多少のことには目をつぶる大らかな心の持ち主の私だけど、これはちょっとどうなのよ?と思うことがふたつあった。

 

18時の開店と同時に入って、店員のお姉さんに名前を告げたんだけどー

 

店員「お名前がございません」

私 「(かなり困惑気味に)え、そんなことないと思うんですけど...」

店員「別のお名前でご予約されていませんか?」

私 「いや、その名前ですよ。自分で予約したので...」

店員「すみません、少々お待ちください」

 

お姉さん、裏に引っ込みしばらくして戻ってくる。

 

店員「あ、お名前ございました。こちらです」

 

いやいやいやいや、まずはちゃんと謝れよ!!!

クリスマスイブのディナーを予約して盛大にカッコつけようと思ったところを出だしでつまづかせといて、テヘ(^^;じゃねーんだよ!!!

だいたい違う名前で予約するわけねーだろ!!!

 

なにこの仕打ち。

こんな失礼な店はじめてだよ。

-2万点だよ、2万点。

入る前に冗談で、「予約取れてなかったらどうする?」「なにそれ、ウケるー」ってやりとりがあったんだけど、エスパーかっつーの。

 

怒りと興奮を抑えつつ席について気づいたんだけど、この店くちゃーい。

古い油の臭いというか、こんな不快な臭いのするフレンチレストランは中崎町の「セルクル」以来、って割と最近じゃないの。

壁とかテーブルクロスとかトイレとかなんか不潔なんだよね。

出てくる皿も汚いし。

中華料理じゃないんだからさ。

 

 

この日はクリスマス特別価格ということで1人7450円のディナーのみ。

さらにドリンクとして、ペリエ(400円)とジンジャエール(400円)を頼んだんだけど、これが後々命取りになろうとはこの時点で気づくはずもなかったのでした…。

 

で、本日のコース内容がこちら。

 

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小さくて読めないorz

 

値段の割には充実したラインナップ。

スペシャル”と銘打ってるだけありますな。

 

まずはアミューズから。

 

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かぶらのムース キャビア添え

 

おいしいことはおいしいんだけど、かぶら感はないかな。

キャビアもほんのちょんぼりだからあっという間。

味付けは濃いめで繊細さはない。

 

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 帆立貝とマンゴのミルフィーユ仕立て

 

オードブルはホタテ

はっきり言ってビミョー。

干してあるホタテを戻したのか肉が薄く固いので歯ごたえが悪い。

それとも焼きすぎかな。

マンゴのソースもホタテを引き立てているようには感じなかった。

スーパーで売ってる生ホタテの方がうまい。

 

スープは置かれた瞬間からカニの香りがプンプン。

 

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ワタリ蟹のビスク エストラゴン風味のカプチーノ仕立て

 

むせ返るようなカニの香り。

これはカニ好きにはたまらん。

ビスクなので濃厚。

でも大味というかしょっぱいというか、これも味が濃すぎるんだよな。

喉が渇きそう。

 

スペシャルディナーらしく続いてはフォアグラの登場。

 

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フォワグラのポワレ ポルトのレデュクション

 

これはうまかった!

ヘタなフォアグラだと脂ギトギトで食べられたもんじゃないんだけど、これはくどくないのに濃厚という絶妙のバランス。

ソースとの相性もばっちりだし、かなりいい素材を使っていると見た。

 

メインの魚はオマール海老のローストとスズキのポワレ。

スズキがメニューに載ってないってことに今気づいた^^;

 

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スズキのポワレ

 

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オマール海老のロースト カダイフ包み トリュフ風味

 

蒸し焼きのスズキはほろほろで、火の通り具合もちょうどいい。

トリュフの風味が白身魚のさっぱり感を引き立ててベリーグッド。

 

オマール海老は反対に火の入れすぎ。

身が固くなっちゃってて、味もそっけもない。

こっちは失敗だな。

 

このタイミングで口直しにシャーベット。

フォアグラの後の方がよくないかな。

 

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カンパリレモンのグラニ

 

酔っぱらうかと思ったけどアルコールはほとんど感じなかったので大丈夫。

味は可もなく不可もなく。

 

肉料理のメインは和牛サーロイン。

 

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特選和牛サーロインのグリエ シャンペルタンソース

 

焼き具合はレア。

なんだけど、柔らかいというよりぐちゃっとした食感。

そのうえ少し筋張ってて、これが特選和牛かと言われるとクエスチョンマーク。

つけ合わせの野菜も特筆すべきものはなかった。

 

最後はデザート。

 

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ホワイトブュッシュとベルギーショコラのアイスクリーム

 

実力のある店はデザートまで一切手を抜かないんだけど、ちょっとさびしすぎない?

確かにアイスはベルギーチョコレートの濃厚な風味がしたし、ケーキもそこら辺に売ってるものよりはうまかったよ。

だけど、フレンチ食った!って満足感は最後のデザートの出来に左右されるところが多いということを考えると、見た目も味も物足りないと言わざるを得ない。

 

ただ、全体的な味付けはよかった。

繊細さや丁寧さはなかったけど。

たぶん実力はあるんだと思う。

でも、残念ながらお一人様7450円以上の満足感はなかったな。

良くも悪くも価格通り。それ以上でもそれ以下でもない。

ビストロの評価を覆してくれるのではとひそかに期待していたんだけど。

クリスマスって時期が悪かったかも。 

 

それはそうと、ハプニングだよハプニング!

クリスマスデートは締めが肝心じゃない。

友だちがトイレに行っている間にスマートに支払いを済ませ、戻ってきた彼女にコートを着せてさっそうと店を後にするというのが私が描いたシナリオ。

懐からサッとカードを取り出し、チェックプリーズとやったまではよかったんだけど…

 

カードを受け付けてないのよこの店!バンバン!(テーブルを叩く音)

 

一瞬、焦ったがそこは百戦錬磨のジェントルマン。

こんなこともあろうかと多少の現金も持ち合わせてきたのだが…。

 

合計15700円の料金に対し、持ち合わせは15200円。

 

500円足りない...誰か貸して…。

 

飲み物分を計算してなかったというまさかの大失態!

 

彼女がトイレから戻ってくるのを待つ間、針のむしろ状態だったよ。

天使のような笑顔で出してくれたから良かったものの、フレンチレストランでカード使えないってあり得る?

聞いたことないんだけど。

予約の確認は怠る、カードは使えない、食事する以前の問題だよ。

クリスマスイブに男に恥かかせてどうすんの。

 

やっぱり、こういう特別な日はちゃんとした店を選ぶべきだと思ったよ。

 

勉強になりました。

 

★★☆☆☆

 

訪問日:2016年12月24日

北野坂 こばやし (三宮)

 出し巻きは蕎麦屋の実力を計る“ものさし”

 

“クリスマスイブを神戸で過ごすのはリア充か問題”はさておくとしまして、非リア充からの脱出をめざす私は、この日、クリスマスディナーをいただくために三宮の地に降り立ったのでした...。

 

しかし、そんな日でも蕎麦が食いたくなっちゃうんだから困りもの。

しかも、今回は友だちからの提案(めずらしく)ということで、 やってきましたこちらのお店。

 

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例のグルメサイトではけっこう評判のこのお店。

通りから奥まったビルの1階にあるので、決して入りやすいとはいえないんだけど、すでに満席。

10分ほど待ってから席へ通された。

店内は清潔で席同士の間隔が広いから居心地がいい。

 

これは期待できそう。

 

と、思ったんだけど、いきなりなんだかなー。

 

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なぜ同じものが二つ⁇

 

“もりそば”と“ざるそば”が別々になってるという、とっても斬新な品書き。

あのー、もりそばとざるそばは同じものなんですけど...とは言えませんでしたよ、さすがに。

 

お店の人に恐る恐る違いを尋ねると—

 

「ざるそばは海苔が乗ってます。」

 

内心(やっぱりな)と思いつつ、そういう方向性なのかと若干テンション下がり気味。

 

まずね、蕎麦に海苔を散らすというのは暴挙でしかないんだよ。

蕎麦みたいなかすかな風味を楽しむ食べ物に、磯の香プンプンの海苔をまぶしたらせっかくの蕎麦も台無しでしょ。

この時点で蕎麦のことをまったくわかってない。

今どきまともな蕎麦屋はやらないよ、こんなこと。

 

ともかく、あまり実力はないのかなと思ったんだけど、とりあえず出し巻きを注文して様子を見ることに。

 

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玉子焼 900円

 

味はいいんだけどね。 出汁も効いてるし。

でも、なんか物足りないんだよな。

高めの値段がそう思わせてるのかも知れないけど、タンピン三色狙いに行って、三色つけられなかった感じと言えばわかってもらえ......ないか。 

下手とは言わないけど、火の通しすぎで層になりかけてるし。

素人料理っぽさが抜けないといいますか。

まあ、「出汁巻き」じゃなくて「玉子焼」とあるからね。

でも、900円も取るんならもっと腕をあげないと。

 

この出し巻き...いや、玉子焼から察するにいろいろ中途半端な店っぽい。

 

で、今回注文したのは海苔抜きのざるそば、つまり、もりそばって何のこっちゃ?

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もりそば 1000円

 

1000円とはこれまた強気の価格設定だけど、はっきり言って1000円の価値はないな。

まず、蕎麦の香りがまったくしない。

一応十割なんだけど、北海道産・福井産のブレンドってどうなのよ?

わざわざブレンドする理由が見当たらない。

福井の蕎麦粉に北海道産の蕎麦粉を混ぜるって、要するに蕎麦の質がよくないってことじゃん。

ああ、だから海苔が乗ってるざるそばがあるのか、と妙に納得してみたり。

 

茹で加減と水切りはいいんだけどね。

塩につけて食べると意外とうまかったので、塩で食べる蕎麦の配合なのかも。

でも、あくまでも蕎麦だからね。

 

なんかトンチンカンなんだよなあ。

 

辛汁の出来もイマイチ。

鰹の風味が強すぎて、濃厚なのに一本調子。

甘さを抑えているのはよかったけどね。

 

タネ物にいたっては失格。

 

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ゆばそば 1300円

 

友だちが頼んだゆばそばを少しもらったんだけど、甘汁がまるっきりなってない。

鰹の風味しかしない。

うどんじゃないんだから。

香りの弱いここの蕎麦には合ってると言えるけど。

 

うーん、基本ができてませんな。

 

総評としましてはー

ウリがないというか特出すべきものはない。

全体的な味つけはよかったけど、この価格なら当たり前。

むしろ高すぎるぐらい。

なにより、この手の高級感のある店で肝心の蕎麦の質がよくないのは致命的。

 

この程度の店は世の中にいくらでもあるよ。

ざるそば一枚で1000円も取るならなおさら。

 

“蕎麦のレベルは出汁巻きのレベルに比例する”という自説の正しさがまた証明されちゃったかな。

それにしても、グルメサイトの評判は当てにならないね。

 

味はそこそこいいから、あまりおいしい蕎麦を食べたことがなくて、お金に余裕があればどうぞ。

 

★★★☆☆

 

訪問日:2016年12月24日

手打そば 中川 (宝塚)

ハイレベルな自家製粉手打ち蕎麦は“特徴のないのが特徴”

 

日本には星の数ほど蕎麦屋があり、それこそ千差万別、ひとつとして同じ店はない。

にもかかわらず、自分の中に“基準となる蕎麦”は確かに存在する。

それは今までの経験にもとづく味、あるいは理想形なのかもしれない。

意識的にせよ無意識的にせよ、私たちはその“基準の蕎麦”を指針に目の前の蕎麦のうまいまずいを判断するのだと思う。

 

そんな自分の中の“基準の蕎麦”を思い起こさせる蕎麦に宝塚で出会った。

 

宝塚に行くのははじめて。

近くに所用がなければ当然スルーするようなところ。

宝塚の演劇になぞ1㍉の興味もないし。

 

目的の店は正確には宝塚の隣の宝塚南口駅にあって(なんだよその駅名)、徒歩で5分ぐらいのところにある。

 

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 「自家製粉」「石臼挽き」「手打」 アピール感満載の暖簾が特徴的

 

清潔感のある店内は入って右手にバーのようなカウンター席、左側にテーブル席、20人ぐらいは収容できるかなりの規模。

 

愛想はいいんだけどどことなく事務的なお店の人の対応、温泉旅館にありそうな湯呑みで出される緑茶、天もりに鴨せいろ、玉子とじににしんそば、おかめと盛りだくさんの品書き。

 

はっきり言って、ミスったなと思いました。

被害を最小限にとどめて、あとはよそで腹ごしらえしようと思いました。

 

そんなこんなで一枚のもりそばを注文したのだった。

 

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もり 864円

 

仕方なく頼んだはずのもりそば...。

 

と・こ・ろ・が!

悪くないのよ、これが。

 

割合は二八でいわゆる喉ごしやコシがあるタイプなんだけど、固茹でで太さもちょうどいい。

本当に手打ちかと疑ってしまうぐらい丁寧に打った蕎麦はとにかく食べやすい。

北海道滝川産の新そばの風味を存分に引き出している。

うれしい誤算にいまひとつな水切りも気にならないほどだ。

 

辛汁はそれだけ飲むと、みりんの甘さが強く、鰹の渋みも感じられ、こなれてないように思えるんだけど、蕎麦をつけるとこれがよく合う。

 

なんていうのかな。

「からに」や「和」など、ここ最近立て続けにクセの強い店に行ってるせいか、そういう店の蕎麦に比べると、全然とがったところがないし、主張するところもない。

悪く言えば個性がない。

 

しかし、蕎麦に個性が必要かと言えば、そんなことはないし、特徴のないのが特徴という蕎麦があったっていい。

ここの蕎麦は、いい意味で“アベレージ”なのだ。

 

もちろんざる蕎麦一枚ぐらいでは足りないので、かけも追加オーダー。

 

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かけ 864円

 

これもうまい!

甘汁は鯖節を使ってないらしく酸味こそないが、濃すぎず薄すぎずほどよいバランス。

 

ついでに天ぷらも頼んでしまいました。

 

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天付 810円

 

これも特筆すべき点はないんだけど、衣は軽くサクサク。

かけそばと一緒に食べてもイケる。

 

席から見える厨房では女性が茹でていたように見えたが、ひょっとしたらその女性が職人なのかもしれない。

丁寧で繊細な蕎麦なのもうなずける。

 

ハイレベルにまとまった“特徴のないのが特徴”の手打ちそばは、誰が食べてもうまいと思えるそんな一品だった。

 

この日はやってなかった田舎そばは次回のお楽しみにしておきましょうかね。

 

★★★☆☆

 

 訪問日:2016年12月6日