SOMA (中津)

中津の行列カレー店は超マイペース

 

そば屋めぐりばかりでこのところとんとご無沙汰していたカレー。

友達のたっての希望で梅田界隈にある行列必至と評判のこちらの店へ。

 

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 冬場の行列はちと堪えます

 

昼時とはいえ着いたときにはすでに20人近い行列。

心が折れかけたけど、そんなに寒くなかったし、ここまで来たら後へはひけない。

それにしても、こんなに並んでるカレー屋は東京にもないよ。

それ以前にカレーを食べるのにここまで並んだ経験がない。

大阪の人はせっかちと聞いてたんだけどな。

 

ようやく中へ通されたのは30分+後。

売り切れギリギリ滑り込みセーフ。

 

店内は10人も入れば満員になってしまう。

行列ができるわけだ。

 

メニューは大きく分けて3種類。

お肉のカレーと野菜カレー、チキンキーマとトマトカレー、そして野菜カレー。

お店の人にチキンキーマはあとひとり分と言われたので、せっかくなのでそれに。

友人はお肉のカレーと野菜カレーのチキンをオーダー。

辛さも選べるので、友人に負けまいと私も3倍界王...いや3倍の辛さにしてみた。

 

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お肉と野菜のカレー(チキン) 800円

 

インドカレーということだけど、見た目はさらさら系。

ご飯は玄米。

肉と野菜のカレーは、野菜のカレーがベースでそこに肉がトッピングしてある感じかな。

ひと口もらったけど、クセがなくまろやかでおいしい。

 

 

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チキンキーマ+トマトカレー+野菜カレー 1000円

 

一方、チキンキーマ+トマトカレー+野菜カレーはというと、トマトカレーと野菜カレーのハーフ&ハーフでそこにチキンキーマをトッピング。

トマトカレーは酸味と甘みが増してる分、野菜カレーより味がはっきりしている。

インドカレーらしくクミンとカルダモンの風味が強めなのも自分的には◎。

細かく刻んだピクルス?の食感と酸味がアクセントになっていてこちらもうまい。

頭のてっぺんから汗が噴き出す(いつものこと)。

 

あと、この店のカレーは玄米との相性がバツグンにいいね。

さらさらのカレーに玄米が合うのは知ってるけど、ここまで違和感なく食べさせるのはお見事。

 

それはそうと、高槻の『スパイススランバー』のときも書いたけど、大阪はこの手のカレーが流行ってるの?

スープカレーの海に無人島のようにご飯が顔を出してるタイプ。

 見た目がゴージャスというか、絵になるというか、大阪のさらさらカレーはおしゃれカレー。

 

と、この店のカレーにはまったく文句はない。

 

問題は行列。

ひとり用の席があるんだけど、品切れで先に並んでた人が食べられなくなるのを避けるためか、たとえひとりであっても順番が来るまで先に通されることがないんだよね。

人数がなかなかはけない。

超マイペース。

本来ならここまで並ぶ店ではないんじゃないかな。

 

カレーはおいしいよ。

でも、30分以上並ぶ価値があるかといえば…...うーん、そこはギモン。

こんなに並ばなくてももっとうまいカレーを食べさせてくれる店はいくらでもあるからね。

ここに並ぶくらいなら『デリー』のカシミールカレーや『チリチリ』のマサラカレーや『sync』の牡蠣カレーを食いに行くよ。

みんな東京だけど。

 

近くに行く用事があって、時間があって、暑くも寒くもなければまた行ってもいいかな。

 

★★★★

 

訪問日:2016年12月10日

手打そば 和 (我孫子)

個性派ご主人の熟成そばが醸し出す“そばもん”ワールド

 

蕎麦好きってどこか理屈っぽいというかいい意味でも悪い意味でもこだわりが強い(自分も含め)。

ここの蕎麦はなぜうまいのか、ここの蕎麦はなぜまずいのか、とにかくその理由を知りたがる。

でも、ごくまれに、こちらのこだわりの上を行くこだわりを見せる店に遭遇することがあるのだから世の中わからない。

そして、供される蕎麦を前に我々蕎麦食いはただ茫然と立ちすくむことになる...。

 

この日は夕方から長居のキンチョウスタジアムにサッカーを観に行くことになっていて、近所の良さそうな蕎麦屋はもちろん事前にリサーチ済み。

そこで引っかかったのが、こちらのお店。

 

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決して“ないす”とは言えない店構えだけど…

 

外観はどこにでもある普通の蕎麦屋

一歩入ると右手に座敷、通路をはさんで左手にテーブル席。

マンガが置いてあったり、店内を見渡しても何の変哲もないおらが町の蕎麦屋だ。

 

しかし、ひとたびメニューを開くと、すぐにこの蕎麦屋が只者じゃないということに気づかされる。

 

手挽き十割蕎麦(太打ち)、手挽きざる(二八・細打ち)はいいとして、問題はメニューの一番下。

 

熟成蕎麦(十割の2日 木曜日は九一の3日)

その他 十割ひとばんねかせ

    二八ひとばんねかせ

       を、召し上がっていただける事もあります。

 

つまり、この店は普通のざるだけで、なんと6種類もの蕎麦があることになる

こんな店はお目にかかったことがない。

 

こうなると、朝打ちの蕎麦と熟成蕎麦とで味に違いが出るのか確かめたくなるのが心情というもの。 

 

さすがに全種類食べるわけにはいかなかったので、泣く泣く河内鴨のつけ汁はあきらめて、手挽き十割の朝打ちと熟成2日の十割、そして二八の朝打ちを注文。

これだけでもう3枚なんだけどね。

 

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手挽き十割蕎麦 1050円

 

手挽き十割の一本5mmはありそうな太打ちそばは超豪快!

蕎麦粉がぎっしり詰まった麺の食感は固め。

産地は信頼と安心のブランド福井県丸岡ということで、さすがに風味はいい。

ただ、ここまで太いと麺を食べるというより、蕎麦粉を味わうという意味合いが強くなってしまうので、評価しづらいところ。

このぐらいじゃないとブツブツ切れてしまうんだろうけど、もう少し細くして麺としても蕎麦としても成立するようにしてもよかったかも。

 

蕎麦に並々ならぬこだわりを見せる一方、辛汁がおざなりになっている店が多い昨今、この店はその点でも抜かりがない。

 

ご主人はメジカ(宗田鰹)も使っていると言っていたけど、この辺は本鰹のみでじっくり出汁を取る関東とは違う。

しかし、手挽き極太十割のワイルドさを受け止めるだけの深み、濃厚さは十分。

軽い汁が特徴の「からに」とは真逆だ。

メジカは鰹に比べて血合いが多く味が濃厚らしいが、その分雑味臭みも出るわけで、ここまでバランスよく仕上げるのには相当な努力と研究が必要だったハズ。

蕎麦の食べ方を知らない人が多い関西でこの辛汁を出すのは勇気いったと思う。

辛汁に関しては間違いなく大阪トップクラスの出来。

 

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十割蕎麦(2日寝かせ) 1000円

 

つづいてキンチョウ(試合会場とかけたわけじゃないけど)の面持ちで運ばれてきたのは、熟成十割。

朝打ちと2日寝かせの違いが果たしていつもエラそうなことをほざいているこの私に分かるのか...

 

 

わかる!

僕にもわかるよ!ララァ

 

 

ご主人は栗や芋の風味が加わると言っていたけど、確かにはっきりとわかる。

しかも、朝打ちの蕎麦より甘味も増している。

蕎麦は何日か放置していると赤くなって強烈な臭いを発して食べられなくなるんだけど、その手前といった感じ。

 

まさかこんな食べ方があったとは…。

蕎麦は本当に奥が深い。

 

とはいえ、全神経を研ぎ澄まして味わう蕎麦は肩が凝るのも確か。

やっぱり普通に麺としての蕎麦も食べたいじゃな~い。

という人には二八だ。

 

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手挽きざる(二八) 850円

 

こちらは打って変わって極細。

若干平打ちで、茹で方も悪くないし、フツーにうまい。

 

十割が衝撃的すぎてこんな感想しか思い浮かばないのが心苦しいけど、少なくとも、ご主人のこだわりをビンビンに感じることは保証します。

 

こういう正しい方向性のオタク系蕎麦屋がもっと増えて欲しいと心から思う。

 

結局、今回は鴨汁も食べずじまいだったし、一緒に行った友だちに白い目で見られるのがイヤで、二八の熟成も断念したので、これは追記が必要だな。

 

そうそう、蕎麦を待つ間、マンガの「そばもん」を読んでたんだけど、20巻も出てるのね。

よくネタがもったな。

 

★★★★

 

訪問日:2016年12月4日

そば切り からに (福島) ※追記アリ

うまい“蕎麦”を食べるならここ

 

蕎麦屋には、ビジネスとしてしっかりやってるところと趣味の一環としてやってるようなところの二通りあると思っていて、個人的には後者に肩入れしている。

ビジネス蕎麦屋ミシュランの星を有り難がったり、体裁だけ整えて中身スッカラカンのところもあるから油断ならないしね。

まあ、ミシュラン自体蕎麦のことをよく分かってないから、あそこの星を取ったぐらいでテングになってるようでは蕎麦屋としての志は低い。

 

梅田の隣の福島に、前から気になっていた蕎麦屋があって、この度電車を乗り継いで行ってみた。

どことなく巣鴨駒込を思い起こさせる聖天通りという商店街の中ほどにその店はある。

 

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下町の雰囲気を損なわない外観がいい

 

乾物屋か豆腐屋かわからないけど、昔の店舗をそのまま蕎麦屋にしたような店構えは、すかしたビジネス蕎麦屋とは対照的。

飾らない店内からも店の方向性が感じられる。

 

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乱雑ながらも清潔感がある

 

これはまさに趣味が高じて蕎麦屋になった人の店だ。

朴訥なご主人を見ればそのことがよくわかる。

とはいえ商売でやっている以上、蕎麦の出来まで脱サラおやじと同じレベルではリンダ困っちゃう。

 

というわけで、いつものように基本のざると粗挽き、そして鴨汁をオーダー。

この店は“細引き”、“荒挽き”と呼ぶ。

どちらも九一。

 

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細引き 850円

 

この日の蕎麦は岡山蒜山産。

勉強不足で知らなかったけど、けっこうな蕎麦の産地らしい。

もちろん初体験。

 

だったのだが、これがうまい!

今年は北海道産の出来が良くないせいか、蕎麦の風味がすごく強く感じられる。

汁につけずに半分ぐらい食べてしまったよ。

まあ、いつものことだけど。

 

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荒挽き 850円

 

荒挽きも好み。

茹で加減も申し分ないし、そば殻を挽き込んだ独特のコックリとした風味も十分。

大阪で粗挽きはけっこう食べてるけど、ここまでの風味はちょっと記憶にないな。

それだけ良質の蕎麦を使っているという証拠だ。

 

と、まあここまで大絶賛してきたんだけどやっぱり難点もある。

まず水切りが雑。

水は下に落ちていくから、食べてるうちに段々水が混ざってくるんだよね。

味が抜けちゃってせっかくのいい蕎麦が台無し。

水切りができないなら無理に細切りにしないか、時間をかけてじっくり水切りするかどっちかでしょ。

普通の太さでしっかり水切りがしてあれば蕎麦も乾いて風味もより際立ったのに。

蕎麦がいいだけにホントもったいない。

 

あと、この手の趣味が高じた蕎麦屋にありがちな、『蕎麦にはこだわってるわりに辛汁がけっこうおざなり問題』がある。

この店も少しその傾向があるのが惜しい。

 

薄っぺらいというか、こなれてないというか、深みやコクがないんだよね。

藪系の辛汁の旨味要素が10だとすると、ここのは3ぐらい。

出汁もしっかり引けてないし、“かえし”もちゃんと寝かせてるのかな。

鰹の風味が強すぎるのもよくない。

ただ、ほとんど甘味がないのはいい。

酒を呑ます店だからこのバランスなのかもしれない。

 

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鴨汁(細切り・荒挽きからチョイス) 1350円

 

鴨汁も辛汁と同様、甘味がないのはいいんだけど深みがなくて単調。

うまいことはうまいんだけど...。

全体的にもう一声といった感じ。

 

最後の方は文句になってしまったけど、好きか嫌いかと言われればもちろん好きな店。

甘くない辛汁は好みだし、なにより良質な蕎麦が食べられるからね。

その蕎麦の質にご主人の腕が追いつけば屈指の名店になるポテンシャルはある。

当のご主人にそこまでの欲はなさそうなのがあれだけど。

 

でも、食わせる蕎麦と雰囲気が両立してる店ってなかなかないし、もちろん通わせてもらいますよ。

 

Strongly recommended!

 

 

〈追記〉

 

12月3日に梅田に用事があったので、ついでに2回目の訪問。

今回は梅田から歩いて行ったんだけど意外と近かった。

 

蕎麦屋ってどうしてもその時々で蕎麦や汁の出来にバラつきが出てしまうから、1回行っただけじゃ本当のところはわからないんだよね。

 

さて、2回目となる今回の訪問で評価が変わったかと言うと—

すいません、前よりおいしく感じました。

 

水切りは相変わらず十分とは言えなかったけど、改めてかなり食わせると思った次第。

前回はこなれてないと感じた辛汁も舌が慣れたせいか、これはこれで全然アリかな。

甘味がないから野趣あふれるここの蕎麦にすごくマッチするしね。

一本調子も悪くないと思わせるこのマジック。

 

あと、やっぱり蕎麦がいいんだよ。

細引きも荒挽きもホントにうまい。

だから不十分な水切りがつくづく惜しい。

鴨汁もそのまま薄めずに飲めるから、蕎麦をすすってから鴨汁を飲むという食べ方も発見してしまった。

 

そうそう、店に「そば切り天笑」のカードが置いてあって不思議に思ってたんだけど、聞いたところ「天笑」で修行していたとのこと。

蕎麦の細さや辛汁の鰹の強いところとか似てないこともないけど、自分の中では結びつかなかった。

蕎麦粉の質、蕎麦の量ともに勝ってるし、とくに辛汁や鴨汁は「天笑」のものより甘さ控えめだからね。

個人的には「天笑」より全然好み。

 

たとえベースは同じでも、自分のめざすスタイルや客層に合わせて味の方向を変えていくというのは、蕎麦屋に限らず飲食店として正しい姿だと思います。

 

★★★

 

訪問日:2016年11月22日

分上野藪 かねこ (浦和)

大阪に来て2年半、最近は地元民みたいな顔してその辺をフラフラしてるけど、所詮よそ者。

いくところいくところアウェー感はびんびんだ。

こっちで乗ってる車のナンバーも“大宮”だし。

 

だから、幼少期を過ごした浦和に降り立つと、しみじみとホームに帰ってきた感慨にふけってしまう。

通りがかる車がどれもこれも“大宮”ナンバーなのを見るとやっぱりどこかほっとする。

昔に比べると駅前はすっかり様変わりしてしまったけれど…。

 

今回、所用のついでにわざわざ浦和を訪れた理由はもちろん蕎麦、そば、ソバ。

めざすは浦和を代表する有名店「分上野藪かねこ」だ。

 

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暗くて分かりづらいけど、こじんまりとしたいい店

 

実はこの店、今は亡き先代の頃から知っていて、当時は別の場所にあったんだけど、小学生の私たち兄弟と母が暖簾をくぐると、「いらっしゃ~い」と間延びするようなトーンで先代が出迎えてくれたことを30年以上経った今でも鮮明に覚えている。

油揚げに納豆をはさんで揚げた“納豆揚げ”を必ず注文したっけな。

 

そんなお世辞にもは忙しそうには見えなかった店も今ではすっかり繁盛店。

それもこれも二代目の努力の賜物なわけだけど、店名からもわかる通り藪蕎麦で修行してきたということも大きい。

 

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せいろう 790円

 

Anyway, 当然ながら蕎麦はハイレベル。

太さ、茹で加減、水切り、どれをとっても申し分ない。

この日は北海道の新そばだったけど、今年の北海道産の新そばはどこか風味に乏しいのが残念。

 

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技術の高さがうかがえる出来

 

でも、特筆すべきはやっぱり甘汁。

藪系だけに辛くて濃厚、さらに本家よりとろみがある。

甘味も強く、まるで黒蜜のようだ。

もう少し甘さ控えめでもよかったかな。

最近大阪の軟弱な甘汁に舌が慣れてしまったせいか、そのままだとめちゃくちゃ濃く感じる。

まあ、自分は蕎麦の先に少しだけつゆをつけて食べる派なのでちょうどいいけど。

 

もちろん、鴨南蛮もいただきました。

 

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鴨南蛮 1700円

 

関西の有名店は自信がないのか鴨南蛮を置いてるところが少なくて、あったとしてもとても鴨南蛮と呼べない代物ばかり。

寒くなるとどうしても食べたいじゃない。

鴨の出汁が効いた甘汁の深みと蕎麦のザラつきが心地よい。

よくコシが云々とか抜かしてる蕎麦をわかってない人たちがいるけど、蕎麦にコシはいらないんだよ。

うどんじゃないんだから。

 

ただ難点を言えば、辛汁の後だとどうしても甘汁がすごく薄く感じてしまう。

逆に鴨汁はもっと濃くてもよかったかな。

順序が逆だと鴨の脂のせいでせいろの味がぼやけてしまうので如何ともしがたいんだけどね。

要するにどっちかひとつにしろってこと。

 

それができれば苦労はないんだよ!

 

★★★★

 

訪問日:2016年11月8日

たかま (天神橋筋六丁目)

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一見さんお断りな店構え

 

茨木・高槻地区に越してきて2年ちょい。

残念ながら地元にはロクな蕎麦屋がないという結論に達した。

やっぱり大阪市内まで足を伸ばさなければまともな蕎麦は味わえないみたい。

 

今回おじゃました天神橋筋六丁目の「たかま」には、これまでにも2、3回行ったことがあって、リピートするぐらいだからお気に入りの店ではある。

 

ここは、福井産の蕎麦にこだわっていて、十割なのに細打ちというのが特徴だ。

福井産の蕎麦は大好物だけど、残念ながら新そばにはありつけず。

それは次回のお楽しみということで。

 

私はノーマルなざると、あれば鴨汁せいろでその店の実力を図るのがポリシー。

つまり最低二枚は平らげる。

もちろん粗挽きがあれば、どちらかを粗挽きにするのが紳士としての嗜み。

 

ということで、今回もさっそく盛りそばと鴨汁そばを注文した。

鴨汁そばの蕎麦は田舎だ。

 

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盛りそば 950円

 

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鴨汁そばの蕎麦(田舎)

 

相変わらず極細ですね。

 

まずはいつものように何もつけずにそのままいただく。

 

十割でこの細さの蕎麦はかなりの腕前だとは思うけれど、福井産にしては風味が弱かったので更科に近いのかな。 そうでないとブツブツ切れてしまうからね。

 

私は太切りの方が好みなんだけど、その理由は細切りだとどうしても十分に水が切れないから。

この蕎麦もざるの下に水が滴ってるぐらいだから水切りはよくない。

 

では、なぜここの蕎麦がおいしく食べられるのかというと、それはズバリ汁(つゆ)の出来がいいからだ。

醤油が強めできちんと出汁が取られているのにお互いが主張しすぎていない。

適度な甘みもある。

ひどい辛汁にあるような、鰹の風味が強すぎたり、砂糖をぶち込んだように甘すぎたりといったことがない。

深みや濃厚さというよりは、キレとすっきりさを優先したということがよくわかる。

これも細切りという蕎麦の形状を考えてのことだろうね。

 

つゆとしては「木田」の辛汁に近いと思った。

「木田」の辛汁からフルーティーさを抜いて純和風にした感じ。
 

そんなことを考えているうちに、お待ちかねの鴨汁が到着~。

 

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鴨汁そば 1500円

 

 濃いめの味付けと深み、しっかりした鴨肉......合格です!

 

薄めないと飲めないぐらい濃くてもよかったけど、関西ではこの辺が限界かな。

水切りが甘い蕎麦をつけると、薄まって蕎麦の味に負けてしまうからね。

まあ、こんなもんでしょう。

 

そうそう、蕎麦がきも頼んでいましたね。

 

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そばがき 1200円

 

わさびと大根おろしを薬味に醤油でいただく。

もちろん、最初は何もつけずに。

ふわふわの食感と強すぎる粘りが舌になじまない。

風味が弱いので醤油をつけても、そばがき自体が軽すぎるので負けてしまう。

 

それにしても大阪ではこの手のそばがきが流行ってるのかね?

同じ店で修行したのか、師弟関係なのか、「天笑」のそばがきもこんな感じだったけど、見てくれだけで中身がともなってないんだよな。

これ一品で満足できないもん。

もともと蕎麦はそばがきで食べてたんだからさ。

 

白金の名店「三合菴」のそばがきを見習ってほしい。

 

とはいうものの、ふつうの盛りそばはうまいし、福井産の蕎麦は食べられるし、女将さんは愛想がいいし、好きな店であることに変わりなし。

 

謙虚で誠実な店でもあるので、これからももちろん通います。

 

★★★★

 

訪問日:2016年11月11日

セルクル (中崎町)

さて、今回は中崎町のおしゃれなフレンチ食堂をご紹介。

 

中崎町は東京で言うと裏原宿みたいな感じでしゃれた店やカフェが多く、歩いているだけでも楽しい。

そんな中崎町へ梅田から散歩がてらてくてく歩いておよそ15分。

駅前のメイン通りを一歩入ったわき道に「セルクル」はある。

 

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コンクリート打ちっぱなしの壁に小ぶりのネームプリントがおしゃれ

 

趣のある木の扉の向こう側は、カウンター3席、4人がけのテーブル席がふたつ、2人がけのテーブル席がひとつの定員13人の店内。

ご主人がひとりで切り盛りしているこじんまりとした店だ。

 

ディナータイムにうかがったんだけど、メニューはコースのみ。

で、まずびっくりしたのはそのお値段。

さぞ、お高いんでしょう?と思いきや、アミューズ、オードブル、本日のスープ、メインの魚と肉料理両方ついて驚きの2100円!

1500円のコースは、メインがどちらか1品だけになる。

“コース”ではなく、“定食”とあるメニューの表記からは、「肩ひじ張らずに気軽に美味しいフレンチを食べてね♡」というご主人の熱いメッセージを受け取った。

 

酢加減や甘味がほどよい突き出しの自家製ピクルスで食欲をかき立てられたころやってくるオードブルは6種類。

味付けは家庭的だけど、どれもこれも手が込んでいる。

 

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上段左から かぶらのムース レンズマメのゼリー寄せ パテドカンパーニュ

下段左から 鴨の燻製とイチジク 豆腐ときのこのフラン ラタトゥイユ

 

気に入ったのはかぶらのムースと豆腐ときのこのフラン。

ムースは若干生クリームが強いものの、濃厚で塩加減もばっちり。

豆腐のフランも固すぎず柔らかすぎず、絶妙なバランスを保っている。

 

まあ、オードブルは前もって用意してあって、直前に調理した感がないのはザンネンと思わなくもないけれど...。

 

とはいえ、ここのシェフ、なかなかやりますぞ。

 

次に出されたかぼちゃとサツマイモのスープはやさしい味。

サツマイモの味がほのかに感じられ、こちらもかなりレベルが高い。

 

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この日のメインは、魚が秋鮭のポワレ、肉が豚ロースのソテー。

 

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梅肉ソース?が鮭のクセを抑えているのかけっこう淡泊な味わい

 

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栗のソースが豚肉の旨味を引き立てる

 

値段から考えてそんなにいい素材は使ってないのかもしれないけど、火の通し方がいいので、その辺の高級店と比べても味は少しも負けていない。

 

食後のコーヒーは400円。 デザートもセットだと600円。

この日はおやつを食べてなかったのでもちろんデザートも注文。

その方がお得だしね。

 

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栗とチョコレートのテリーヌ、アイス添え

 

突き出しからデザートまで、どの料理もおいしく、手間をかけて調理してあるのがよくわかる。

 

が、しかし、それでは満足度はどうかというと...それがそこまで高くないんだよね。

 

男と女では違うと思うけど、自分にとっては量が少なすぎた。

ざる蕎麦あと一枚は余裕で食べられる腹具合。

やっぱりディナーなんだから、少々値は張っても腹いっぱい食いたいじゃない。

 

それに、おそらく女性客をターゲットにしているんだろうけど、その割には店内は薄汚れた感じだし、居心地は決してよくない。

フォークやナイフを引出しから自分で取り出すシステムも衛生的にどうかと思ったし。

まあ、ほかに従業員がいなかったのでそこまで手が回らないんだろうけど、“食堂”だから掃除は適当でいいってことにはならないんじゃないかな。

 

高級ではない家庭的なフレンチをリーズナブルな値段でーという志は共感できる。

立派だとも思う。

でも、高級店には高級店で、値段に見合う食材を使い、サービスや雰囲気づくりまで計算し尽くし、日常では得ることのできない感動を与えてくれる。

方向性が違うと言われればそれまでだけど、リーズナブルという言葉に捕われすぎて、お客を満足させることが後回しになっているような気がしないでも…。

 

うーん、この値段でここまでやってくれたのにケチをつけたらバチがあたりそう...。

 

ただ、味はホントにおいしいので、行って損はないし、絶対におすすめ。

ワインを飲んでないとはいえ、ディナーふたりで5000円しないんだから。

 

予約をして行くのがベター。

 

★★★☆☆

 

訪問日:2016年11月13日

手作りスパイスカレー 完成編

カレーづくりの難点はとにかく時間がかかること。

炒める終わる時点で腰が痛くなるわ、おやつ食べながら作ってると食欲もなくなるわで、まさに一日がかりの作業だということがよくわかる。

 

でも、おいしいカレーを食べたいなら労力をいとわないのが真のカレー好き!

 

ということで、いよいよフィナーレです。

 

STEP3:  煮る

 

前回炒め終わった野菜にもうひと手間加えます。

と、その前にこいつを用意。

 

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りんご 見りゃわかるって?

 

フードプロセッサーに炒めた野菜を入れたらそこにリンゴをすりおろし、水約300mlを加えて混ぜる。

私が持ってるフープロは小型なので、二回に分けないといけないのが玉にキズ。

たまにリンゴを入れるのを忘れちゃうんだよな。

 

ミックス後はこんな感じ。

 

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少しゆるめのジャムぐらいの固さ?

 

ベビーフードでこんなのがあった気がする。

子どもがいないのでわからないけど。

 

で、これを鍋に戻して弱火で温め直したらスパイスを投入。

 

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スパイスで欠かせないのがこちら。

 

  コリアンダー 大さじ1~2

  クミン 小さじ1~2

  ターメリック 小さじ1

  カイエンペッパー 小さじ1

  

スパイスは最低限この4種類があればカレーはできます。

分量に正解はないので、数字はあくまでも目安。

ターメリックは苦みが出るので自分で作るときは少なめ。

 

入れた方がいいと思うスパイスがこちら。

 

  カルダモン 小さじ1

  フェネグリーク 小さじ1

 

カルダモンとフェネグリークはあのカレー独特の香りが出るのでオススメ。

 

そのほか、適宜加えるスパイスがこちら。

  

  クローブ 

  ナツメグ

  オールスパイス

  シナモン

 

さらに、この時点で塩を小さじ2ほど入れている。

だまにならないようにていねいに混ぜ合わせたら、今回は鶏肉を投入。

 

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豚肉でもOK

 

色が白っぽく変わるまで煮ながら炒める。

 

そこに水300mlを足して、中火でコトコト煮る。

具材のニンジンやジャガイモを加えるならこのタイミング。

煮ること約20分。

味を見て薄かったら塩を足す。

私の場合は醤油、ナムプラーも加えて味を調える。

 

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サラサラカレーが好みなら水を足して煮込む

 

この日は使いかけのしめじがあまってたので、しめじチキンカレーにした。

 

出来上がりがこちら。

 

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チキンが見えないな...

 

 

では、いただきまーす!

 

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ライスは五分づき、刻んだネギがアクセント

 

最後に

ルーやカレー粉を使うのもいいけれど、スパイスから作ることができればカレーの幅ももっと広がるはず。

自分のカレーはまだまだ発展途上だし、水の代わりに和風出汁を使うとか、スパイスの配合を変えるとか、試したいことはたくさんある。

何度も言うけど、カレーの作り方には正解がないので、みなさんも自分なりのオリジナルカレーをめざしてみてはいかがでしょうか。

私も次回はジャガイモ抜きで作ってみようかな。