分上野藪 かねこ (浦和)
大阪に来て2年半、最近は地元民みたいな顔してその辺をフラフラしてるけど、所詮よそ者。
いくところいくところアウェー感はびんびんだ。
こっちで乗ってる車のナンバーも“大宮”だし。
だから、幼少期を過ごした浦和に降り立つと、しみじみとホームに帰ってきた感慨にふけってしまう。
通りがかる車がどれもこれも“大宮”ナンバーなのを見るとやっぱりどこかほっとする。
昔に比べると駅前はすっかり様変わりしてしまったけれど…。
今回、所用のついでにわざわざ浦和を訪れた理由はもちろん蕎麦、そば、ソバ。
めざすは浦和を代表する有名店「分上野藪かねこ」だ。
暗くて分かりづらいけど、こじんまりとしたいい店
実はこの店、今は亡き先代の頃から知っていて、当時は別の場所にあったんだけど、小学生の私たち兄弟と母が暖簾をくぐると、「いらっしゃ~い」と間延びするようなトーンで先代が出迎えてくれたことを30年以上経った今でも鮮明に覚えている。
油揚げに納豆をはさんで揚げた“納豆揚げ”を必ず注文したっけな。
そんなお世辞にもは忙しそうには見えなかった店も今ではすっかり繁盛店。
それもこれも二代目の努力の賜物なわけだけど、店名からもわかる通り藪蕎麦で修行してきたということも大きい。
せいろう 790円
Anyway, 当然ながら蕎麦はハイレベル。
太さ、茹で加減、水切り、どれをとっても申し分ない。
この日は北海道の新そばだったけど、今年の北海道産の新そばはどこか風味に乏しいのが残念。
技術の高さがうかがえる出来
でも、特筆すべきはやっぱり甘汁。
藪系だけに辛くて濃厚、さらに本家よりとろみがある。
甘味も強く、まるで黒蜜のようだ。
もう少し甘さ控えめでもよかったかな。
最近大阪の軟弱な甘汁に舌が慣れてしまったせいか、そのままだとめちゃくちゃ濃く感じる。
まあ、自分は蕎麦の先に少しだけつゆをつけて食べる派なのでちょうどいいけど。
もちろん、鴨南蛮もいただきました。
鴨南蛮 1700円
関西の有名店は自信がないのか鴨南蛮を置いてるところが少なくて、あったとしてもとても鴨南蛮と呼べない代物ばかり。
寒くなるとどうしても食べたいじゃない。
鴨の出汁が効いた甘汁の深みと蕎麦のザラつきが心地よい。
よくコシが云々とか抜かしてる蕎麦をわかってない人たちがいるけど、蕎麦にコシはいらないんだよ。
うどんじゃないんだから。
ただ難点を言えば、辛汁の後だとどうしても甘汁がすごく薄く感じてしまう。
逆に鴨汁はもっと濃くてもよかったかな。
順序が逆だと鴨の脂のせいでせいろの味がぼやけてしまうので如何ともしがたいんだけどね。
要するにどっちかひとつにしろってこと。
それができれば苦労はないんだよ!
★★★★☆
訪問日:2016年11月8日