民生廣東料理店 (元町)
南京町の有名店は噂にたがわぬ実力者
ワテクシ蕎麦が大好物ではありますが、中華もなかなか好きでして。
ただ、中華って店を間違えるととんでもない量のMSG(グルタミン酸ナトリウム)が使われてたりするから困りもの。
MSGは欧米ではいまだにビッグイシューだからね。
とにかく後味が悪くなるんで、自分もMSGは苦手。
とはいえ、MSGを絶対に使うなというのも野暮。
それに変わる良さがあれば多少は目をつむりましょう。
さて、今年のクリスマスは三宮・元町あたりに出没していたことは、ここ3回の記事を見ればお分かりいただけるかと思いますが、その店は当初の予定にはまったく入っていなかった。
入店に至る経緯をざっと記すとー
南京町を友だちとふらふら散歩していて、「そういえばこの辺にいい中華料理屋があるらしいよ」と話しかけたら、「そこでしょ」と目の前を指さされ、「知ってたのね」→「だって有名だもん」→「そうなの?、じゃ、ここにするか」という流れ。
よそ者の私がなぜその店の存在を知っていたかというと、以前、元町中華街のよさそうな飲食店を調べていたときに、素材の産地を店先に貼り出しているところがあるという情報を目にしていたから。
味以上に素材の産地が気になる自分にとってはありがたい。
店の名前は忘れていたが、機会があれば行きたいと思っていた。
そのお店とは......グルメのみなさんならもうお分かりですね。
中華料理屋っぽい看板...って、その通りなんだけどね
泣く子も黙る「民生廣東料理店」!(名前を忘れてたことはナイショ)
普段は並ぶ必要があるらしいんだけど、午後6時ごろだったので少し待っただけですぐに入ることができた。
ちなみに写真は帰るときに写したもので、夕食時ということもありご覧の行列。
この列を見てたら回避してたな、たぶん。
店は高級中華というよりも、よくある街の中華料理屋って感じで、奥には大きめの丸テーブルがいくつかあって、私たちもその中のひとつに通された。
もちろん相席でござい。
中華は品数が豊富なので悩むこと少々。
結局、カニみそあんかけの野菜炒め、タコ焼きそば、酢豚の3品をオーダーした。
あとで友だちに聞いたんだけど、ここはイカの天ぷらが有名とか。
店頭にでかでかと出てたのぼりをまったく見てなかった…。
早く言ってよん。
季節野菜と上海かにみそあんかけ(小) 1900円
野菜炒めは、カニの風味こそそれほど強くないものの、かぼちゃのねっとり感、チンゲンサイのしゃきしゃき感、絹さやのパリパリ感と3つの食感を同時に楽しめる。
もちろん味付けも完璧。
スブタ(小) 1400円
大好物の酢豚も期待を裏切らない。
肉は柔らかすぎず固すぎず、添えられたピーマンと玉ねぎの炒め具合もちょうどいい。
餡は甘すぎず、味は濃すぎず、酢豚の理想形といった趣。
野菜炒めも酢豚もうまいんだけど、出色は何と言ってもこのタコソバ。
明石のタコのぷりっとした食感と、固めに炒めた焼きそばのコリっとした食感が心地よく、今までで食べた焼きそばの中でもトップクラスの出来栄え。
いやー、どれもこれもおいしくてびっくり。
ほっぺたがテーブルに落っこちるかと思ったよ。
中華料理ってたいてい味付けがはっきりしていて、ともすればくどくなりがちなんだけど、ここの料理はどれもその一歩手前で抑えられているから中華なのに繊細ささえ感じられる。
MSGもこれぐらいならば許容範囲。
それ以上に食材の食感を意識して調理していることに感心した。
そうすることで、ただでさえおいしい料理にさらに奥行きが生まれている。
なかなかできることじゃないですよ、これは。
調味料やMSGに頼らず、食材それぞれに合った最適な調理時間を見極め、それをひとつの料理にまとめ上げる実力たるや...。
ホントにていねいに作ってることがよくわかる。
中華料理を少し下に見てた自分が恥ずかしい…。
ただね。
だからこそ、だからこそなんだよ!
なぜ、喫煙させんのよ!
自分のテーブルにタバコ吸ってる客はいなかったけど、やっぱりどこからともなくタバコの煙が漂ってくるんだよ。
気になって気になってせっかくの料理に集中できなかったもん。
タバコ吸ってる客に味なんてわかんないんだからさ。
おっと。
ここは、お店の英断に期待したい!
あと、酢豚の紅ショウガもやめようよ。
色付きの食材って一気に安っぽくなるんだよね。
屋台のタコ焼きじゃないんだから。
あの紅ショウガを見て、ちょっと食材の出どころが不安になったし。
この辺の無頓着さというか雑さが、街の中華料理屋が下に見られてしまう理由なわけで...。
少なくとも一品1400円の料理に添えられる食材じゃない。
でも、味自体は大判小判太鼓判。
並ぶのを覚悟で電車を乗り継いで行く価値はあります。
これで禁煙だったら通うんだけどなー。
★★★★☆
訪問日:2016年12月25日